農業
2023年10月20日
週一農業の惨憺たること
2023.10.2
上の写真ではカボチャの葉が茂っているように見えますが、奥にトウモロコシのようなものがたくさん立っています。
これは、デントコーンです。以前、家畜の飼料としてデントコーンを植えていたと思われるのですが、週一日だけ、友人の焼肉店が休みの月曜にしか、来ることができないので、雑草になっているのです。
今年、カボチャ畑にビニルマルチをしたのですが、ビニルの端を土の中に深く埋めなかったので、風で、ことごとく舞い上がったとのことでした。
すぐ隣が道路なので、道路に飛び出したら大変なことになったのかもしれません。
友人から、電話で様々な話を聞いていたのですが、現場に来て、いろいろな謎が解けてきました。
どうも、6ヘクタールの農地を借りているのは、友人だけでなく、IT関連企業と共同で借りているようです。
ビニルマルチが風で飛んでしまったので、マルチなしで雑草だらけです。
今年の夏は高温で水分が少ない状態に、雨が急に降り、実割れしたカボチャがたくさんあったようです。
カボチャの隣のパパイヤもご覧の通り、雑草で一杯です。
友人は、昨年、少ない休みを利用して、パパイヤを作っている農家を訪ね、教えを請いに行ったようです。
その様子は日本テレビのnews everyで紹介されていました。
今年、苗で植えて、すでに見をつけていました。
このパパイヤは大きく成長するのでしょうか。
バングラデシュでパパイヤを見たときは、人の手では届かないところに生っていたので、梯子をかけて取っていました。バングラでは、パパイヤは青いまま収穫し、野菜として使います。
この後、レモンを植えている場所に移動しました。6ヘクタールの農地は点在していました。
写真にはありませんが、持参したpHメーターで土の酸度を測りました。
肥料や土壌改良材を入れているところは7.0ぐらいの、ほぼ中性、入れていないところは6.5ぐらいでした。レモンは酸性でいいのでしょう。
バングラにもレモンがたくさん育っていますが、バングラの大半の土地はカルシウム分が無限大に多く、pHで7.5〜8のアルカリ性です。
千葉の土地は落花生が育つぐらい、土は水はけが良く、柔らかいのが特徴です。
もう一か所、レモンを植えたところに行きました。
植えて3年。もう、実が付き始めました。
ここで、とんでもないことが起こっていました。
下の写真を見てください。
友人の右側にレモンが立っています。そして、左側にもレモンが見えます。その列の間、少し緑色になっている列にもレモンを植えたはずです。
ところが、無くなっていました。
一体、何が起きたのか。
前述のIT企業の社員が草刈りをしたのですが、草が高くなりレモンがわからず、レモンも一緒に機械で刈り取ってしまったのです。
友人が千葉でレモンを栽培している農家を訪ね、品種を聞いて植えた一本2千円のレモンは何十本も無くなっていました。大損です。
草もレモンも見分けがつかないと友人が嘆いていました
現場では、想像もつかないことが普通に起こっていました。
今年植えたスイカはタヌキに食べられ、人間は全く食べられなかったそうです。
ジャガイモも全部収穫できず、掘り上げることができなイモが新しい芽を地上部に出していました。
メダカの養殖場近くにも借りている畑があり、何種類ものナスを植えていましたが、雑草のほうが高く、探すのがやっとでした。
熟したナスは、種取り用に持って帰りました。水につけて、細かい種を分離するとのことでした。
このとき友人に、ここで植えているナスは一代交雑種(通称F1)ではないのですかと尋ねましたが、そうではないと言っていました。
普通、カボチャの実の中に入っているタネを蒔いたら、そのカボチャと同じ品種のものができます。しかし、タネによっては、違う品種になる可能性があります。
タネを作る種苗会社は、育てた野菜や植物からできたタネで同じ品種のものができたら、タネが売れなくなります。
そこで、特別の両親から生まれたタネだけが1回だけの品種になるよう、バイテク技術を使ってタネを作ります。
毎年、そのタネを使わないと、同じ品種のものが育てることができないというタネが一代交雑種と言われるものです。
一代交雑種のタネで育てた植物に実ったタネでは、おなじ品種を育てられないので、毎年タネを買い続けることによて種苗会社が儲かるのです。
今回の農場を見せてもらって、感じたことは、毎日農場に入れないという欠点とIT企業の社員が農業以前に、植物を知らないという、大きな問題がありました。
予想以上に、惨憺たる状態でした。
平日でも、行列ができるお店です。
himajintaro at 12:32|Permalink│Comments(0)
2020年08月02日
バングラデシュにはアボカドが無い⁉
先日、バングラデシュの知人からアボカドの木が欲しいというメッセージが届きました。
市販で売っているアボカドの種を三方向に爪楊枝で刺して発芽させて鉢に植えたものが下の写真の右側です。ちなみに左側は日本のヘーゼルナッツと言われているツノハシバミです。
知人の話では、バングラデシュでアボカドの木を見たことが無いと言います。アボカドは中南米原産で暖かいカルフォルニアなどでたくさん作られています。日本でも沖縄や暖かい地域では栽培されているようです。
ただ、水はけのよい土でないと育たないようです。バングラデシュは現在雨季。洪水被害が大きく報道されていますが、モンスーン熱帯雨林のバングラデシュでは育てるのが難しいようです。
知人の話では、市販でアボカドの実は売っていないようで、もちろん、天然でも見たことが無いそうです。
作っている人はいるようで、その人から苗を分けてもらうと言っていました。
余談ですが、モンジュールさんの奥さんボナニーさんからツバキが欲しいと言われたことがあります。しかし、ツバキはお茶に近い仲間で酸性の土を好みます。バングラデシュの平坦地のほとんどの地域はアルカリ性土壌でツバキはおろかお茶も育ちません。
バングラ北部のインドのアッサム地方に近いシレットはお茶の栽培が盛んで、イギリスのお金持ちが超高級品としてイギリスだけに輸入していた幻の紅茶もシレットで作られています。
シレットにはバングラデシュ農水省の茶の試験場があり、そこに植えてあったツバキの花を見てボナニーさんは欲しくなったようです。
アボカドは露地での栽培は難しいでしょう。ハウスで水分管理をしながら作る必要があると思います。
himajintaro at 10:31|Permalink│Comments(0)
2019年10月20日
イチゴの奇形果
私たちがバングラデシュに滞在中、イチゴが赤くなりはじめました。
そんな中にも少なからず、奇形果が混じっています。
これは、どうも二つの花が合体したような感じに見受けられます。
奇形果の理由は様々あるのですが、一般的には受粉昆虫が少ないのが理由の一つにあげられています。
バングラデシュの場合、日本と違ってミツバチが多いので、心配はないと思われます。しかし、農薬の薬害の知識が乏しく、以前から指摘しているのですが、一向に改善される気配がありません。
かなり前に、農家を対象として栽培研修会で受粉のメカニズムと受粉昆虫の大切さを講義したことがります。
ただ、この時は集まった農家(バングラでは耕作している人を農家とは呼びません。昔でいう地主を農家と呼びます。)は売れることにしか興味がありませんでした。
バングラデシュでは奇形果も売り物になるので、心配ないといったところです。
そんな中にも少なからず、奇形果が混じっています。
これは、どうも二つの花が合体したような感じに見受けられます。
奇形果の理由は様々あるのですが、一般的には受粉昆虫が少ないのが理由の一つにあげられています。
バングラデシュの場合、日本と違ってミツバチが多いので、心配はないと思われます。しかし、農薬の薬害の知識が乏しく、以前から指摘しているのですが、一向に改善される気配がありません。
かなり前に、農家を対象として栽培研修会で受粉のメカニズムと受粉昆虫の大切さを講義したことがります。
ただ、この時は集まった農家(バングラでは耕作している人を農家とは呼びません。昔でいう地主を農家と呼びます。)は売れることにしか興味がありませんでした。
バングラデシュでは奇形果も売り物になるので、心配ないといったところです。
himajintaro at 17:10|Permalink│Comments(0)
2019年10月19日
世界最高品質のダッカモスリンの再生なるか
以前、モンジュールさんが提案したプロジェクトが国の採択を受け、研究費がついたという話題をしました。
世界最高品質で、絹のような極薄のキメの細かい綿織物ダッカモスリンの織技術が途絶え、モンジュールさんが再生をかけて事業提案していたものです。
ダッカモスリンの原料となる綿のルーツを求め、一緒にアゼルバイジャンに行かないかと誘われたこともあります。モンジュールさんは、様々な植物のDNAが保存されているモスクワに行ってきたようです。
モンジュールさんは、バングラデシュやネパールなどの国内外から綿の原種を集め、ラッシャヒ大学の農場で栽培研究を始めていました。
イギリスがインドに綿産業を持ち込んだ時の綿は、現在の綿と同じように収穫しやすい背丈の低い綿を使っていたと思われます。
しかし、モンジュールさんが探しているダッカモスリンの綿は背丈が高い原種に近いものかもしれません。
モンジュールさんも定年退官まで、あと3年です。果たして、定年までの間に、ダッカモスリンとして使うことができる綿が見つかるか、微妙な残り時間となってきました。
今回のプロジェクトは綿を見つけることだけではなく、モスリンとして製品化するまでのとてつもない事業です。それだけに、多くの研究者が関わっています。
一時は途絶えたバングラデシュの伝統文化を再生させる大事な事業だけに、これから、プロジェクトがどう進んでいくのか注目したいところです。
世界最高品質で、絹のような極薄のキメの細かい綿織物ダッカモスリンの織技術が途絶え、モンジュールさんが再生をかけて事業提案していたものです。
ダッカモスリンの原料となる綿のルーツを求め、一緒にアゼルバイジャンに行かないかと誘われたこともあります。モンジュールさんは、様々な植物のDNAが保存されているモスクワに行ってきたようです。
モンジュールさんは、バングラデシュやネパールなどの国内外から綿の原種を集め、ラッシャヒ大学の農場で栽培研究を始めていました。
イギリスがインドに綿産業を持ち込んだ時の綿は、現在の綿と同じように収穫しやすい背丈の低い綿を使っていたと思われます。
しかし、モンジュールさんが探しているダッカモスリンの綿は背丈が高い原種に近いものかもしれません。
モンジュールさんも定年退官まで、あと3年です。果たして、定年までの間に、ダッカモスリンとして使うことができる綿が見つかるか、微妙な残り時間となってきました。
今回のプロジェクトは綿を見つけることだけではなく、モスリンとして製品化するまでのとてつもない事業です。それだけに、多くの研究者が関わっています。
一時は途絶えたバングラデシュの伝統文化を再生させる大事な事業だけに、これから、プロジェクトがどう進んでいくのか注目したいところです。
himajintaro at 07:54|Permalink│Comments(0)
2019年10月12日
イチゴ苗生産は順調
バングラデシュで独占的にイチゴの苗販売を続けていますが、生産も順調のようです。
かつては、バイテク研究所が停電で試験管培養している苗がほとんどダメになったこともありますが、停電はあるものの、太陽光発電設備と大型自家発電機があるために、研究所が機能不全に陥ることはなくなりました。
苗づくりも順調です。渡航時には、苗の出荷は終わっていました。
赤い実が生り始めました。
ラッシャヒ大学の農場を借りて、新しい品種の試験が行われていました。
落下式の自動潅水装置の試験も行われていました。
バングラデシュのイチゴは、まだまだ甘味と風味が足りません。品種だけの問題ではなく、栽培技術の問題もあります。インドやマレーシアでは、日本人技術者による水耕栽培が始まっていますが、私は昔から、モンジュールさんに農業は土から離れてはダメだと言い続けてきました。
今は生食中心のイチゴ栽培です。以前から、イチゴを使った食品開発に取り組む必要があると言い続けてきました。食品加工の技術者が必要になってきました。
幸いながら、乾燥マンゴーの生産拡大の可能性が出てきました。ついでに、イチゴの加工も技術移転できると良いと思います。
かつては、バイテク研究所が停電で試験管培養している苗がほとんどダメになったこともありますが、停電はあるものの、太陽光発電設備と大型自家発電機があるために、研究所が機能不全に陥ることはなくなりました。
苗づくりも順調です。渡航時には、苗の出荷は終わっていました。
赤い実が生り始めました。
ラッシャヒ大学の農場を借りて、新しい品種の試験が行われていました。
落下式の自動潅水装置の試験も行われていました。
バングラデシュのイチゴは、まだまだ甘味と風味が足りません。品種だけの問題ではなく、栽培技術の問題もあります。インドやマレーシアでは、日本人技術者による水耕栽培が始まっていますが、私は昔から、モンジュールさんに農業は土から離れてはダメだと言い続けてきました。
今は生食中心のイチゴ栽培です。以前から、イチゴを使った食品開発に取り組む必要があると言い続けてきました。食品加工の技術者が必要になってきました。
幸いながら、乾燥マンゴーの生産拡大の可能性が出てきました。ついでに、イチゴの加工も技術移転できると良いと思います。
himajintaro at 09:23|Permalink│Comments(0)