2006年09月
2006年09月25日
イチゴのポリポット苗
苗として育てなければならないが、バングラデシュでは透明のビニル袋に千枚通しのようなもので穴をあけて、土を入れて苗用の鉢にしていることが多い。
モンジュールさんたちも最初は、ビニル袋を使っていたが、水はけが悪く、根腐れを起こして全滅させてしまった。翌年、日本から黒いポリポットを5,000鉢送った。園芸店で売っている野菜苗や花苗に普通に使っている黒い「あれ」である。黒を使うのは、根が暗いと成長する性質を考えているからである。
黒いポリポットを使ったところ、98%の発根率(根が出て無事成長した確率)でイチゴ苗が生長した。黒いポリポットの利用は大成功。写真は、そのポリポット。鮮明ではないが、このあと、大きく苗は生長し、順調に畑への定植(植え付け)へと進むことになる。
ここまで、4年以上の時間がかかっている。
2006年09月23日
2006年09月22日
入れる人限定
今まで、無菌ジャガイモの研究に意欲的だったモンジュールさんは、イチゴの他に、トウモロコシの研究にも力を入れている。その都度、バイテクによる培養状態を見て欲しいといわれコールドルームに入った。
トウモロコシは、バングラでも栽培が盛んになってきており、今クーデターのタイから大量のタネを輸入している。ジャガイモはネーデルランド(オランダ)から種芋を輸入しているが、バングラで数年間植えて数を増やしてから農家に売られている。このため、ウイルス性の病気がついた種芋が農家の手に渡っている。
モンジュールさんの研究方針は、自国で安くて良いタネを生産できることである。
ウイルスにかかってない種芋を作るには、バイオテクノロジーで病気に負けない品種を作って、寒天培地で増やすことである。トウモロコシも生産量が多く、タンパク質をふんだんに含む品種を研究により開発した。
昨年から今年にかけてバングラでは暖冬だったため、昼と夜の温度差が少なく、ジャガイモの生長が悪く、極端な不作になっている。このため、ジャガイモ相場が急騰している。ジャガイモは高い米を食べられない貧しい人たちの主食であるが、今年は米よりもジャガイモの方が高い。隣国、インドも同じ状態で、バングラ政府は、緊急輸入を決定したというが、具体的な動きはまだないという。
2006年09月21日
トップシークレット
普通、イチゴは、冬の寒さを経験しないと花芽をつけてくれない。花芽がつかないから、実がならない。バングラデシュの冬の寒さでは、あまり花を咲かせることができない。このため、人為的に寒さに与える方法をとるのが一般的である。
チューリップやアイリスなどの球根植物も同じことをしなければならない。人為的に寒さを経験させる方法を春化処理(バーナリゼーション)というが、バングラデシュでは、こういった方法で植物を栽培させる考え方はなかった。
モンジュールさんに、春化処理や球根植物の休眠打破(夏の暑さで眠っている球根を人為的に起こす方法)なども教えた。これらの方法は世界的には当たり前の技術であるが、バングラデシュでは、「トップシークレット」だから誰にも教えるなと、いつも釘を刺した。
しかし、モンジュールさんはいつもみんなにネタをばらしてしまって、シークレットではなくなってしまう。技術そのものより、研究していることを黙っていて欲しいのであるが、すぐに公開してしまう。ただでさえ忙しいのに、公開してしまって、問い合わせが殺到する。いつも、彼の人の良さがあだになる。
写真は、春化処理をしないでも実をつける、新しいイチゴの品種。去年から、ダッカの市場で甘くておいしいイチゴとして出回っている。バングラデシュでは、タイやオーストラリアから酸っぱいイチゴが輸入されている。この写真のイチゴの品種こそが、現在のバングラのトップシークレットである。